日本の田舎の原風景と、インターネット上の仮想空間バトル!
それらをうまく融合させて、不思議な世界観へといざなう…
VRメタバースを描いた細田守監督アニメ作品【サマーウォーズ】をレビューします!
サクッと読めば、【サマーウォーズ】がまるっとわかる!!
VRメタバースなアニメ【サマーウォーズ】考察・感想・レビュー!
作品のあらすじ(ネタバレなし)
誰もが使っている、インターネット上の仮想世界・OZ(オズ)。
高校生・健二は、友達と一緒にOZの点検バイトをしていた。
そこへ現れた、憧れの夏希センパイ!
「夏休みに、バイトしない?」
という話から、夏希の田舎に行くことになった健二。
「私の彼氏」と親戚一同に紹介された健二は、彼氏のフリをするというバイトをすることに。
その日の夜。携帯電話に届いた謎の数学問題を、何気なく解いて送ると…
翌日、健二は「OZをハッキングした犯人」としてニュースに取り上げられていた。
そうしてOZから世界を巻き込んだ大混乱がはじまるのであった。
【サマーウォーズ】作品レビュー(ネタバレあり)
細かい点は後回しにして…全体的には楽しいエンターテインメント作品でした!
夏休みにみんなで見るにはこーゆーのがいいですね。
この作品が楽しいのは、「リアルな日本」と「バーチャルな仮想空間」が同居してる、という点です。
田舎に帰るシーンや、親戚が集まる感じなんか、田舎育ちの者としては納得のリアルさ。
細田監督自身もこう言っています。
「アニメでは、普通の人が、普通のことを、普通にしてみせると快感なんだ」
まさに“普通のこと”が作品内で表現されていて、魔法がかっていました。
現実味のないアニメって、たいがい見てもシラけてしまうものですが…
細田監督は「リアルをアニメに持ち込む」って方向に考えてらっしゃる。
そこらへんがイイ感じ!
毎年恒例、夏の甲子園。一方、仮想空間で世界が危機を迎える。
その世界線が同居してるギャップが面白い。でもほんと、
何気ない日常と、わけわからん状況が同時に存在しているのがこの世界なんですよね。
妙に納得する世界観でした。
ただ、“世界救う系”のストーリーって、人の心にブッ刺すには難しいものがあって。
簡単に言うと「そもそも世界救う状況になったことがないので、共感しようがない」ってのがむずかしいところで。
他の“世界救う系”作品と同じく。深い共感などはないですが、エンターテインメントとして楽しめる作品でありました。
【サマーウォーズ】の登場キャラ、栄おばあちゃん、夏希、侘助について
この主要な3キャラについて掘り下げてみます。
栄おばあちゃんについて
ものすごい実力者。ストーリー中で一番立ってるキャラ。
知り合いに電話しまくって、皆を励ましてる感じからも、尊敬されるし愛されるのがわかる。
傑物、といった感じで。シロクロはっきりさせる感じとかも見てて気持ちいい…のだけれど。
一方、親戚一同は、おばあちゃんの誕生日会でてんやわんや。
「仕事を休んででも、おばあちゃんの誕生日会に行かなきゃ!」みたいな空気。
このおばあちゃんが、わざわざ自分の誕生日会のために皆をあわてさせるとは思えないなぁと。
栄おばあちゃんがそんな状況を見たら、「誕生日なんていいから、しっかり仕事を全うしなさい」とか言って取りやめにするでしょうね。
なので「ご先祖様を弔うお盆、ついでに開かれるおばあちゃんの誕生日会」みたいなイベントの方がしっくりくるんじゃないかと思う。
夏希について
ヒロインの夏希。このキャラがちょっと弱くて。
まず「年上の大人男性に惹かれてるクセに、無神経にDT男子をもてあそぶ女子」って印象で。イメージが悪すぎ。笑
ストーリー上でもいまいちキャラ描写がないし、「健二、この娘のどこに憧れてるん?」っていう。
多少見た目が良いだけで。魅力的なヒロインになる要素がないんですよね。
後半で、いきなりバトルに引っ張り出されるわけですが。ここ、
「まるでおばあちゃんが夏希に乗り移ったかのようだ!」
「夏希がおばあちゃんの精神を受け継いだ!」
みたいな表現を、いくらでもぶち込めるシーンじゃないですか。
後のラブコメ展開に支障が出ないよう、ほどほどにでいいんだけどさ。
「おばあちゃんには花札をペロッとなめるクセがあって、夏希もその仕草をした!」みたいなさ。何でもいいんだけど。
このシーンは夏希のキャラを強くするチャンスだったと思うんですよ。
健二の良いとこ見たからって、最後にしおらしくなっても…
もし僕が健二だったら、「君のような芯のない人とは合わない。バイトの契約は破棄させていただくよ」つって、帰っちゃうね。笑
侘助について
「人とのつながり」「人の絆」がテーマにあるのはいいんですが…
結局、侘助みたいなキャラが「出る杭は打たれる」ストーリーなのが…日本的なイヤさがある。
いつだって世を救ってきたのは挑戦する「出る杭」だし、それをつぶしてきたのが同調圧力だし。なーんかそこらへんがなぁ…
「出る杭」だった侘助も団結して、罪を償って、ほーら世界は救われた!みたいな感じになっちゃってるのがイヤなんだが。
夏休みにみんなで見る映画だから、まぁいいか。
「出る杭」のための映画ではないですもんね。
ただ、「異なる価値観の尊重」みたいなシーンも欲しかったな、という要望。
印象的なセリフ「よろしくお願いします」の意味
健二が暗算で暗号を解いて、鼻血を流しながらエンターキーを押すシーン。
「よろしくお願いいまぁぁぁぁぁぁす!!!!!!!!」
このセリフ。その違和感。これが絶妙なんですよね。
栄おばあちゃんが亡くなる前の晩に、健二はおばあちゃんと花札勝負をしているじゃないですか。
その時に、「夏希をよろしく頼むよ」と託されて。しかも、「あんたならできる」という言葉もかけてもらってるんです。
健二は「僕はまだ、自分に自信が持てません」とか「やってみます、としか今は言えません…」っていうあいまいな返事をしたわけですよ。
そのまま栄おばあちゃんは亡くなってしまった。
それが健二の深層には引っかかっていて。
その答えとしてこのセリフが出た、というわけです。
「よろしく頼むよ」とおばあさんから頼まれた。あの危機的な状況でそんなことまでは考えていないでしょうけれど。これが成功したなら、こんな僕にでもできるかもしれない。
その勇気から、なんかわけわからんけど出た「よろしくお願いいまぁぁぁぁぁぁす!!!!!!!!」
DT男子の自信の無さと謙虚さ。心理の変化から、キャラ描写までを一言で表現した、見事なセリフでした!
VR関連アニメとして見る
サマーウォーズには、VR機器などは出てきません。
「OZ」は、VRのSNSではなく、単なるネット上のSNSですね。実際に人が仮想空間に入ってるわけではないですし。
単に、アバターが動いてるのを人が画面上で見て、仮想世界をイメージしている感じ。
【VRChat】をデスクトップやスマホで使うみたいな。
そしてほぼ全員が仮想空間のアカウントを持っている。
なのにガラケーらしき端末だったり、キーボードをカタカタやったり、っていう感じなのが…
進んでるんだか遅れてるんだか…って感じはします。
仮想空間でのバトルもあるわけですが。パソコンが強くなったり、回線が早くなったりするとキャラも強くなる?
ここらへんはちょっと設定が謎です。
仮想空間「OZ」では、自分の分身であるアバターを持って、ネット上であらゆるサービスが使える、と。
買い物もできるし、翻訳で世界中の誰とでもコミュニケーションできる。
手続きや納税など、行政との連携も完璧と。
ただ、すべてが統合されているため、乗っ取られたら現実世界が大パニック、と。
現実世界では「すべてが乗っ取られる」みたいなシステムを組むわけはないですが。
サイバーテロなどのイメージはつきやすいストーリーですね。
VR映画【レディプレイヤー1】よりも、実際の肌感に近い世界の話なわけで。
なんたって、日本の田舎が舞台ですし。
日常で仮想空間を使ってく未来が、とてもイメージしやすい作品だなという印象でした。
ストーリーのロジックからいろいろ言いましたが…
日本の風景が美しいですし、フツーに楽しめるエンターテインメント作品なので。オススメです!
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