原作フィリップ・K・ディック。監督スティーヴン・スピルバーグ。
豪華な組み合わせのSFアクション映画、【マイノリティ・リポート】をレビューします。
AR映画【マイノリティ・リポート】感想レビュー《ネタバレあり》
【マイノリティ・リポート】作品のあらすじ(ネタバレなし)
舞台は2054年の近未来。
作り上げられた犯罪予知システムが、成果をあげていた。
未来に事件を起こす犯人を、事前に捕まえる。
そんな仕事をする犯罪予防局のチーフ、ジョン・アンダートン。
過去の傷を抱えながらも、仕事に精を出していたが…
ある日、次に起こる事件の犯人として予知されたのは、自分だった。
ジョンの、真相をあきらかにする逃亡劇がはじまった。
【マイノリティ・リポート】映画レビュー(ネタバレあり)
いろんな要素がぶち込まれていて面白い!
まず、ストーリーの感情をざっくり言います。
はじめに、予知能力者“プリコグ”による犯罪予知システムが出てくるわけですが。
「未然に犯罪を防げるなんて、めっちゃすごいじゃん!」という感情と、
「事件を起こした動機はどうでもいいの?そしてまだ犯人じゃない人を逮捕していいの?」
と、いきなりジレンマを抱えることになります。
そして主人公のジョン。どうやら息子を亡くしてるらしい。奥さんとも別れ?という過去を持っていて。
薬に頼っているし、「いや、この人…大丈夫なん?」という心配も出てくる。
そんな過去の傷に飲み込まれないように、仕事にのめり込んでいる。
そんな中、ジョンがちょっと気になったことを調べてくうちに…新たに予知された犯人は、自分。
「えっ!何で?何で?」となってるうちに、仲間たちからの逃亡がはじまる。
観てるこっちとしては「息子を殺したやつが判明するんだな…」と思いつつ。
システムの考案者のところへ行って問い詰めたり。
施設に潜入するため、闇医者に身体をいじってもらったり。
予知能力者“プリコグ”をさらったり。次々と展開してく。
で、「息子を殺した」っていうやつと対峙。するが、ジョンは思いとどまる。
そこから、誰かがジョンをハメようとしていた、という新たな謎。
観てる側には、先に犯人を見せつつ。ストーリーは終局へ向かうのであった。
という流れですね。
まずこういった、時間軸を使うお話は「いや、そうしなければ、そうならないでしょ」とか突っ込みはじめるとキリないので。
タイムパラドクスにはつっこまないことにしている。エンターテイメントとして楽しければ良し。
この映画は楽しかった。
特に楽しいのが、闇医者の場面。
「いやいや、絶対こんなテキトーそうなやつらに手術されたくねぇ~!」っていう。
完全にここ、ホラーコメディ映画に仕上がっている。
その他のシーンも、ブラックユーモアが随所にたっぷり散りばめられていて。そこが楽しい。
ホテルのフロントの男を脅したら、「仕事中にモニターでちょいエロ娘を見てたのかコイツ…」とか。
未来の個室ビデオで、「部長をぶっ殺したい」と希望するサラリーマン。「あんたは偉いよ」と褒められまくりたい男。
「人間ってさ、こういうもんだよね。ホント、どーしようもない生き物なんだよ、人間って」っていうのが、いろんな場面で見られる。
そのシニカルさが作品全体の根底にあって。
結局最後、真相があきらかになってみれば。
ジョンがハメられた理由も、権力への欲、賞賛されたい欲、いろいろあっただろうけど。
ここがポイント。犯人は、予知されたとおりにジョンを撃たず、自分を撃った。
これが何を示すか。
どうしようもない人間の欲も確かにあったが、「犯罪を無くしたい」という崇高な理念も持っていた。と。
パッと見、アクションとしての盛り上がりの欠けるラストに見えますが…
物語の深みを一層増している結末なんですよね。
「人間ってどうしようもないよな」
「人間ってこんななんだぜ」
の前フリが効いてる。散りばめておいてからの、
「でもこういう部分もあるんだ」っていう。
清濁併せ持つ人間の業として落とすかぁー。という最後でした。
で、新たな希望があるエンディングも、解放されたプリコグも、収まりがついて良かったかな。って感じで。
ジェットコースター的な展開の中に見せる、人間の多面性。
いや、SF映画としては傑作でしょ。
タイムパラドクスなんかいちいちツッコむもんじゃないよ。
SF映画がほとんど成立しなくなっちゃうぞ!野暮な。
あと、映画としては…
時計仕掛けのオレンジオマージュと貞子オマージュの遊びも楽しいですし。
おむすびころりんな“目ん玉”も、使い回しがステキ。
プリコグのアガサ役(サマンサ・モートンて女優さん)の方。真に迫る表情が凄いし。
早めに真相に辿りついてしまう優秀な調査官(コリン・ファレル)も、ストーリーを引き立てるいいキャラ。
ステキな見どころがたくさんある映画ですねー。
【マイノリティ・リポート】AR映画、未来のガジェット映画として見る
ここに触れないわけにはいかないでしょう。
「マトリックス」や「レディ・プレイヤー1」などと同じく、VR・AR分野で引き合いに出される映画なわけで。
近未来アイテムのオンパレード。お祭りですよ。
もはやリオのカーニバルかってぐらい、次から次へと踊り手が現れる感じ。
・予知システム、わざわざピタゴラスイッチぽくしたの?まわりくどくてイイネ!好き。
・ARでのせわしない操作。運動になりそ。
・嘔吐棒って何だよ!他に動きの止め方あるだろ!好き。
・ラチェットみないな銃、扱いづらそ。好き。
・電車乗る時の網膜スキャン。これは何かヤダ。
・「ジョン、疲れてない?」「ジョン、旅行はどう?」ARの広告。そんなイチイチ名前呼ばれたらウザイ。企業イメージダダ落ち。
・顔変形アイテム。なんかトム・クルーズ、顔の変装やり慣れてるな!好き。
・クモ型の調査ロボット、スパイダー。賢くてイヤ。好き。
・未来型個室ビデオ。使用者が見れちゃうんだ。ってことは使ってるとこ誰かから見られちゃうんだ。好き。
なんか「こーゆーの、そのうちできそうだな」とか「いや、そんなのはできないでしょ!」って。リアルな未来と重ね合わせて見るのも楽しいですね。
実際、ハイテクな犯罪予防システムもリアルに作られてきてるみたいですし。
SFが未来を予見していることは多々ありますよね。
野暮なツッコミ入れずに、エンターテイメントSF映画として傑作ですよ。
ちょくちょく未来を見せてくれるスピルバーグ監督のSF、楽しいので好きです。
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