「これからの経済って、どうなっちゃうの!?」
今後10数年の“お金”がわかる、ということで評価の高い本【お金2.0 新しい経済のルールと生き方】。感想レビュー!
今後の経済の流れがわかりますよ!未来が知りたい方、必読です!
【お金2.0 新しい経済のルールと生き方】感想レビュー!
【お金2.0 新しい経済のルールと生き方】佐藤航陽 著
仮想通貨、フィンテック、シェアリングエコノミー、評価経済…
「新しい経済」を私たちはどう生きるか!
「時間」を売買する経済システム「タイムバンク」を発明したメタップス創業者が明かす、資本主義の先の世界。
「テクノロジーによって変わるこれからの経済をつかむ必読書」!
第1章 お金の正体
この章をざっくりまとめると、「今まで、経済の仕組みは時代とともに変わってきた」。
そして、「新たなテクノロジーによって、まったく新しい経済の仕組みが生まれる」ということです。
「お金」と、「人の感情」と、「テクノロジー」が未来の方向を決める。というお話は「確かに!」と思いました。
「お金」が一番強力で、次に「感情」、最後が「テクノロジー」だと。ただ、3つが足並みそろっていないと、現実ではうまくいかない。なるほど、そうですよね。
そういったお話から、現在のフィンテック(金融×テクノロジー)の話へ。
現在の「フィンテック」は、2種類あると。
ひとつは、いままで通りの金融で、ITを使って効率的にすること。
もうひとつは、全くの別物。いままでの金融の概念をくつがえして、まったくのゼロから再構築するもの。
その典型が、ブロックチェーンを使った暗号通貨(仮想通貨)だと。
今までの金融システムとは全く別物なので、同じとらえ方で考えない方がいい。ここポイントですね。
そこから、人類によるお金の歴史の話。銀行の歴史の話があり…
現在の中央銀行システムは、たかだかここ100年のことでしかないという事実。
なので、最近の仮想通貨やブロックチェーンの仕組みが、100年後には普通になっていても。おかしな話ではないですよね?っていうことでした。
「テクノロジーは、豆腐を作った過程でできる湯葉みたいなもの」という例えも面白いですね。
そして人間は、脳の快楽物質で“報酬”を得ることを目的として動く。という行動原理。
人間の行動から、自然のように経済が作られてゆく。
いまの資本主義がここまで普及したのは、自然に似たカタチをしていたからだ。
自然の構造に近いルールほど社会に普及しやすくて、かけ離れた仕組みほど悲劇を生みやすい。といったお話も、納得でした。
第2章 テクノロジーが変えるお金のカタチ
この章をざっくりまとめると、「今後はあらゆる仕組みがテクノロジーによって“分散化”してゆく」。
そして、「自分たちで経済圏を作って、使ってゆくことが大事になる」ということです。
ネットの発達によって、中央に集まっていた力はどんどん分散化しています。ネットによって、人は常に、直でつながれるからです。
膨大なデータがあふれたことで「自動化」が進み、ネットワーク社会によって力が「分散化」される。
そうなると、「独自に価値を生む経済システム」自体を作る者が、大きな力を持つようになります。
テクノロジーによって、経済は“住む”ものではなく“作る”ものに変わりつつある。
経済そのものが民主化される。つまり、誰もが自分の手で経済を作り出せる。
そうなると、社会は大きく変化してゆく。
お金そのものには価値がなくなってゆく。むしろ、どのように経済圏を作って回していくかということが重要になる。
そういうお話でした。
第3章 価値主義とは何か?
この章をざっくりまとめると、「今後はお金よりも、その人の持ってる“価値”が重要になる」。
そして、「“価値”を提供できる者が有利になってゆく」ということです。
今後は、目に見える「お金」ではなく、お金に変換される前の「価値」を中心とした世界になってゆく。
今はSNSのおかげで、その人がどれぐらいの人から注目されて興味・関心を持たれているかが数値で見えるようになった。
そういった影響力という“価値”は、まるでお金のように色々なものと交換することができる。インフルエンサーや人気配信者なんか、そんな感じですよね。
ただこれには「炎上商法」みたいな落とし穴もあって。評価や信用じゃない、一時的に注目や関心を引くだけのものもある。
でもそういったものは、結局うまくいかないので消えてゆく。
こうした中で、社会的なつながりを資産ととらえる「ソーシャルキャピタル」という考え方がある。
今までは、お金を増やすのがうまい人(経営者や投資家など)が大きな力を持っていたけど、これからはソーシャルキャピタルを増やすのに長けた人も大きな力を持つようになる。
例えば。バングラディッシュから貧困をなくしたいと考えたムハマド・ユヌス氏。
ユヌス氏は、貧困に苦しむ人々に、少額を低金利で貸し出す「グラミン銀行」を作った。
この慈善事業を、持続可能なビジネスとして成立させた。そうして数百万人が貧困から脱することに貢献した。
その後、ノーベル平和賞を受賞。
ユヌス氏は、社会の課題をビジネスとして解決する「ソーシャルビジネス」という考えを提唱している。ということで。
今後、こういった社会的な価値を軸にした独自のビジネスがどんどん生まれてくる。それはテクノロジーによって、誰でも作れるようになるからだ、と。
こうなってくると、「ソーシャルビジネス」の流れは一気に加速します。
社会的に価値のある取り組みは利益を出しやすくなる。その一方で、利益のみを得ようとするビジネスは、だんだん収益を出しにくくなる。
数十年後には「営利」「非営利」という区別はなくなって、活動はすべて“価値”という視点で捉えられるようになるでしょう。というお話でした。
そして、AIが発達すると、人の仕事にAIが取って変わる。
人には、「ベーシックインカム」として定額が給付される。全員が働かなくても生きていけるようになる。
すると、必要不可欠じゃなくなった「お金」の価値はどんどん下がってゆく。
これによって人間の生活は、全く違う価値観や生き方に変化してゆく。
いろんな経済圏ができて、その中から好きな場所を選んで生きていくようになる。
今まで日本では無価値だった「歌が上手い」「絵が描ける」などの能力が強みになるかもしれない。
そんなような未来が待ち受けているかもしれないのです。
価値主義では、テクノロジーによって、内面的な価値や社会的な価値が見えるようになります。
それらも経済として成り立ち、資本主義の欠点をおぎなうことができます。
第4章 「お金」から解放される生き方
この章をざっくりまとめると、「それじゃあ、何が“価値”になるのか」ということです。
人生の意義や目的は、欠陥や欲求不満から生まれます。
しかし、あらゆるものが満たされた世界には、この「人生の意義や目的」こそが“価値”になってきます。
それを他人に与えられる存在、その価値がどんどん上がっていくことになります。
人間の内面的な価値は、今の資本主義では表しづらい。ここに大きなチャンスが生まれます。
この内面的な価値というのは、
- 共感
- 熱狂
- 信頼
- 好意
- 感謝
こういった種類があります。わかりやすい具体的なモノとしてあるわけではありません。
これからの働き方は、ここに絞って活動していくのが良いでしょう。
金銭的なリターンを求めるほど儲からなくなり、何かに熱中している人ほど逆に利益を得られるようになります。
重要になるのは「個人の価値」です。
個人の価値とは、
- スキル・経験のような、使えるもの
- 共感・好意のような、精神的なもの
- 信頼・人脈のような、つながり
などがあります。
これからは“価値”という点で、独自の枠組みを作れるかどうか。そういった競争になる、と。
枠組み内での競争ではありません。“枠組みそのものを作る競争”です。
そのために、それぞれの興味や情熱と向き合う。
自らの価値に気づき、それを育てる。
そして、その価値を軸にして自分の経済圏を作っていく。
そういう行動が必要になる、というお話でした。
第5章 加速する人類の進化
この章をざっくりまとめると、「経済が変わることによって、人類の価値観も大きく変わる」。
そして、「お金は特別ではないただの“ツール”になり、形を変えた経済の未来がある」ということです。
いま起こっている経済の革命は、人類の次なるパラダイム(価値転換)への引き金になり得ます。
今まで「儲からない」って理由でされなかった、最先端テクノロジーへの投資が加速します。
そうして、この30年間で開発される新たなテクノロジー。
それは産業革命以上のインパクトを与えて、人類をこれまでとは全く違う世界へと連れていくことになる。
これは「シンギュラリティ」と呼んばれているものです。
シンギュラリティ
「シンギュラリティ」によって、労働は機械によって自動化されます。
人間は、お金や労働から解放されます。生きていくために働くことも、お金を稼ぐことも必要なくなります。
人々はオンライン上で過ごす時間が増え、現実世界の領土の広さは重要じゃなくなる。
VRでは空間を無限に作れるので、リアルな領土を持っている必要性はなくなる。
未来の国
仮想通貨やブロックチェーンの普及によって、いまある経済圏も、国家も、重要ではなくなってくる。
国家の役割をすべて電子化してテクノロジーによって代替できてしまう。理論的にはすでに、そういったことができるようです。
エストニアのような、積極的にテクノロジーを取り入れている電子国家もあります。
これからの国家は、以下の3つの方向に変化するのではないでしょうか。
1つ目は、エストニアのような方向。大国とは全く違う形で、もうひとつのグローバルスタンダードを作る未来。
2つ目は、GAFAMなどの巨大IT企業のような方向。テクノロジーを使って、国家のような役割までも担う未来。
3つ目は、名前もない共同体がバーチャル上で国家になる。電子上の国家として、新しい国を作る未来。
こういった国ができてくる可能性がある、と。
人間生活の未来
人間が労働から解放されると、時間できます。そこではエンターテイメントが主要な産業になって、いかに精神的に充実させるかを追求していくことになります。
VR・AR・MRなどのテクノロジーが発達してゆくと、人間は「現実」そのものを選択できるようになるかもしれません。
いくつかのチャンネルを切り替えて、自分が最も居心地が良い世界を自分にとっての「現実」と選択するようになります。
経済の変化によって、こういった未来が待ち受けているでしょう。
そして、お金はただの「ツール」だということが常識になる。私たちがお金に特別な意味を感じていた最後の世代になるかもしれない。ということです。
お金を「ツール」として深く理解して、今はじまりつつある「新しい経済」を上手く乗りこなしていきましょう!
VRに関する印象に残った言葉
今後、VRなどの新たなテクノロジーが発達してくると、その時には人間は今とは異なる状況に快楽を感じて、新しい欲望を生み出しているでしょう。
それこそVRでは空間を無限に生成できるので、物理的な領土を持っていることの優位性はどんどん下がっていきます。
VR・AR・MRなどのテクノロジーの発展と共に現在の私たちが想像もしないような様々な方向に精神は拡張していきます。
今のSNSのように、色々な仮想空間でそれぞれ異なる人格でコミュニケーションを楽しみます。その中でも一番居心地が良い仮想空間で最も長い時間を費やすことになるでしょう。あなたはその世界を「現実」と考えるようになってきます。
ここ数十年を考えるうえでの、経済の流れ。そのエッセンスが詰まった本でした!
要約するうえで、具体例や細かい話は省いています。
グーグル元社員が設立した、“AIが神”とあがめる宗教の話や、
“時間”を売買する【タイムバンク】の話など、ここには載せきれなかった楽しい話もたくさんありました!
「元の本で、細かく深いところまで読み取りたい!」って方はぜひ読んでみてください!
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