【マトリックス レザレクションズ】がついに公開されました。
1999年、仮想世界を描いて大ヒットしたSF映画【マトリックス】シリーズの第4作目。
ソッコー観てきましたので中2病丸出しでレビューします。
これまでの【マトリックス】シリーズ3部作レビューはコチラ↓
>>>映画【マトリックス】の真実をわかりやすく解説《VR映画としても考察》
映画【マトリックス レザレクションズ】の真実《考察・感想レビュー》
待ってましたよこの日を。前3作も見なおして準備カンペキ。朝イチの回で見てきました。
さっそくレビューいってみましょう↓
映画のあらすじ(ネタバレなし)
見覚えのあるシーン…マトリックスが再生されている?でも何かが違う。
救世主・ネオを見たという謎の人物たちは、ネオを探すために動きはじめる。
“ネオ”だったはずのトーマス・アンダーソンは、世界的ゲームデザイナーとして生活を送っていた。
しかし精神の病にかかってるのか、セラピストに青いカプセルを処方してもらっているのだった。
ある日、恋人だったはずのトリニティーと再会するが、お互いに誰だかわからない。別々の人生を歩んでおり、すれ違う二人。
「何かがおかしい」と思いつつ、錯乱してゆくトーマス・アンダーソン。そこへ現れた謎の人物たち。
ここは現実なのか?虚構なのか?マトリックスをめぐる新たなストーリーに巻き込まれてゆくのだった。
【マトリックス レザレクションズ】感想・レビュー《ネタバレ感想》
感想をひと言でうと、「デジャヴを楽しむ映画」。
正直なところ更新されるほどの面白さはなかったけど、キライになれない作品でした。キライになれない理由は、後ほど考察にてお話しします。
誰も【マトリックス】の衝撃を越える期待はしてないでしょうし。「またマトリックスの世界が観れるのか」ってだけで満足。
前半は見ててパニック。
マトリックスが繰り返されているのか?リアルなのかゲームなのか?精神病にかかったような混乱を抱くことになる。
新キャラたちが動く中。ネオはゲームデザイナーになっていて、トリニティーは見知らぬ人と結婚して子供がいる。お互い赤の他人。
謎から謎への連続。マトリックスシリーズの名シーンが散りばめられつつ、新しい設定や概念が出てくるから観る側は大変。マトリックスの記憶を必死にたどりながら「こうなってるんかな?」と推測してくしかない。
会話のやり取りを聞いても、作品内の話なのか、我々のいるリアルのことも話してるのか。わけがわからなくなってくる。
青が象徴的なマトリックス世界での混乱がだいーぶ引っぱられて、ネオと共にめまいをおぼえるような感覚におちいる。
「そろそろマトリックスから解放してくれーー」としんどくなってくる中、出ました赤いピル。再び目覚めて現実世界へ。しかし「解放されたー」ってほどの抜け感はない。
機械たちとはうまく共存してるようで、過去の戦いは無意味ではなかったことがわかる。
ただ、ネオやトリニティは復活させられて囚われの身になっていたと。
ここからはシンプルに言えばトリニティを助けに行って目覚めさせる話。
トリニティはどちらを選択するのか?ほどほどに幸せな生活を選ぶのか。真実の愛を選ぶのか。
救出劇とラブストーリー。といっても観る側は救われて結ばれるのはわかっているので、それほどハラハラはしない。
音楽の盛り上がりと共に18年越しのSFラブストーリーが展開され。ハッピーエンド。めでたしめでたし。
「めっちゃ面白かったーーー!」って感じじゃなかったけど…伝統芸能のようなお約束はところどころ楽しめた、という感じでした。
【マトリックス レザレクションズ】考察
ここからは一歩踏み込んで熱くいきたい。
そもそも、ウォシャウスキー姉妹は「シリーズ続編を作ることはない」と断言してたわけですよね。
大作【クラウドアトラス】を作った後、「マトリックスの続編を作れ作れ」って言われてても拒否してた。でもこうして続編を作ることになった。
妹のリリー・ウォシャウスキーは、もう一度やる事に乗り気じゃなかったので監督はしてない。姉のラナ・ウォシャウスキー監督のみで作られた。
続編を作るに至った原因として「両親の死」があった。監督には、ネオとトリニティーによるポジティブなストーリーを描くことが救いとなったのは想像に難くない。
前半のネオはほぼ監督を投影したような内容だった。商品となった「マトリックス」。
会社から「続編を作れ」というプレッシャーの、疲弊と混乱。「マトリックス」ファンたちの後押しによって再び立ち上がり、失われたものを取り戻しにゆく。
かなり私的な現状が盛り込まれていた。
そしてエンドロールでわざわざ翻訳された「パパとママへ。—すべては愛から始まる」。
このメッセージこそが、今回の【マトリックス レザレクションズ】に込められていたすべてなんじゃないか。
前マトリックスシリーズでは「愛」の象徴であるトリニティは亡くなった。精神世界ともいえるマトリックスを統合するために全てが動いてたので、愛への執着が失われるのは事前に予測できるし、それは必然だった。
しかし、ラナ・ウォシャウスキー監督の根底にはずっと引っかかって、別の選択肢が大きくなっていった。
「統合された世界は美しいが、“愛”のゆらぎも強く美しいのではないか」と。
ここで個人的な「なぜマトリックスが好きか?」を言わせていただきたい。
「青くさいから」。これに尽きる。
ガンアクションでも、ワイヤーアクションでも、バレットタイムがすごいからでもない。
マトリックスの青くさいメッセージこそ核なのだ。
世の中間違ってる。わかったような大人になるな。あいつらを疑え。
「—飼われるな。心を解き放て—」
大人は全員操られてる。その中でお前はリアルに生きるんだ!…なんて、中二病まっただなか。
そもそも【マトリックス】は、僕らのような青くささが抜けない奴らの話だったじゃないか!
哲学的にモンモンしつつ、ケレン味たっぷりのエンターテイメントに昇華した中二病のための映画だったじゃないか!
そしてその、中二病的な青くささこそ「何かを変えるために失くしちゃならんモノ」だと、僕らは知ってるじゃないか!
そういった“青くささ”や“理想主義”の部分こそがウォシャウスキー姉妹の根っこ。マトリックスシリーズの核なはず。
今作も恥ずかしいくらい身もフタもないメッセージですよ。
「—愛が世界を変える—」
もう「24時間テレビ出演者、誰も思ってないだろ」ってなるような青い想いを込めてるわけですよ。
しかもラスト“飛ぶ”ことによって救世主になるじゃないですか。ギャグかと思う画ヅラだったけど、青いメッセージは一貫してますよ。
飛んだことによって「—誰もが世界を変える救世主になれる—」とまで言ってるのではないか。とことん青くさいメッセージで、とにかくポジティブなストーリーを作ったんだな。
作者の信念を投げかけ、世界に働きかける。これこそが物語の素晴らしいところじゃないですか。
これ【マトリックス レザレクションズ】だけを見たら…18年前に作られた謎設定に謎ワード連発、カンフーアクションからのおじさんとおばさんの不倫ラブロマンス。
画面に起こってることだけ書き上げたら謎映画すぎてわけわからんでしょ。
往年のファンからも賛否あるでしょうし、ヒットもしないでしょう。エンドロール後のシーンなんか笑えもしないし「わざわざ付け足す必要あったんか?」って思う蛇足でしかなかった。
しかし根っこにある純粋なガキのような青さは、やっぱり【マトリックス】だった。
以上の理由で、シリーズ4作目【マトリックス レザレクションズ】。どうしてもキライにはなれないのです。
【マトリックス レザレクションズ】のアクション
しょっぱな、青髪バッグスの回転飛びが「カッケェ」となったくらいで。今までのシリーズに比べて、特に真新しいアクションはなかったかなと。
キアヌの最近といえば映画【ジョン・ウィック】のイメージなわけで。【レザレクションズ】の見た目もあまり変わりないですし。【ジョン・ウィック】にアクションで張り合ってもしょうがない、ってことで申し訳程度にカンフー入ってる感じ。
第一作から思ってたけど、マトリックスのカンフーって速い感じしないですよね。今回も「おっそ…」と思ってしまいました。むしろ遅いのが「逆に速いのか?」と錯覚させてるんじゃないかとふんでるんですが。笑
して必殺技は江頭2:50ばりの押し出し。シンプル。湖上の庵での戦いはワクワクしたわりに、印象に残ってない。
とにかく今回のネオは「くたびれた人が戦ってる」って感じでした。
あと笑ってしまったのが「bot爆弾」。
クソリプみたいなものでしょうか。SNS時代を象徴するような敵の群れでしたけども。ゾンビ映画でもあのシンプルな落下爆弾感は無かった。
【マトリックス レザレクションズ】のキャラ
これまでのキャラがイメージ強すぎて…今作で新しいキャラ出てきても、なかなか前3部作で作り上げたようなキャラの重みは出せないですよね。
せめて青髪のバッグスくらいはキャラ立ちさせて欲しかった。演じたのはジェシカ・ヘンウィックさん。アジア系の血が入ったイギリス女優さんなんですね。
初見は「野沢直子も出てたんかな?」って印象だった。ストーリーが進むにつれ、どんどん魅力的に見えてきてたんですが…「白い兎」の先導役が終わったらお役御免でしたね。後半での「ナイオビに代わるグッジョブキャラの再来」を期待してたんですが、もうちょい足りなかった。
他キャラ
- ナイオビは「将軍なったんだねぇー」で、いいとこなく終わった
- 新モーフィアスはモーフィアスごっこをした後、粒子になってた
- メロビンジアンはトレインマンみたいになってた
- スミスは敵なのか味方なのか行動原理がよくわからないキャラだった
ボスであるセラピスト(アナリスト)は、ジョジョのDIO的な。SPECのニノマエ的な。時間を操るっていう最強キャラあるある。詐欺師感はあったけどボス感はなかった。
アーキテクトは『TV時代のフィクサー』って感じだったけど、セラピストは『ネットやSNS時代のつかめない闇』って印象。群れで攻撃してくるので、そんな印象に残る敵キャラでもなかった。
インド少女のサティは大人になってましたね。演じたのはプリヤンカ・チョープラーっていうインドの女優さんとのこと。ミス・ワールド優勝者。インドの人は目鼻立ちハッキリ美人ですね。
謎だったのは、クリスティーナ・リッチがチョイ役で出てたこと。お友達出演か何かだろうか?
基本、ネオとトリニティーのラブロマンスだったので他のキャラにはウェイト置かれてない印象でした。
ネオも助けられつつの先導役なのでそこまで引っ張らないし。今作は実質、トリニティーが主役として最後持ってく感じでしたね。
【マトリックス レザレクションズ】に出てきたあれこれ
- モーダル 進化シミュレーション?なんそれ?
- バイナリー ゲームデザイナー・アンダーソンが作るのに苦戦してる新作ゲーム。「二者択一」という意味合いは暗示的
- クジャク 他にも機械の仲間たちがいっぱい人間たちを補助してくれる
- アイオ 人間の暮らす「ザイオン」は名前が変わってた。Zを取った→終焉を免れたってこと?
- 粒子のデジタルヒューマン 実体を持てるホロポーテーション。とちおとめも育てちゃう
- ムネモシュネ バッグス船長の船。マトリックス戦士たちの船名はいつも暗示的。「ムネモシュネ」とは、調べたらギリシア神話の記憶をつかさどる女神でした。たくさんの記憶を呼び起こす今作を象徴するような船名。
【マトリックス レザレクションズ】の音楽
音楽について感じたことをいくつか。
ネオが登場時の音楽はプロペラヘッズ
【マトリックス】でも印象的だった、プロペラヘッズの『Spybreak!』がネオ登場時に流れるんですよね。懐かしい。
ここもファンなら「おっ」となるポイント。
JunoReactorは参加してない?
【マトリックス リローデッド】以降は、トランス界の大御所であるJunoReactorがサウンドを担当してた印象ですが…
今回は参加してるって話は聴かないですね。レボリューションズの曲『Navras』のようなオペラ感はありません。
エンディングの『Wake up』はカバー
【マトリックス】のエンディング曲といえばRage Against the Machineの『Wake up』でした。
【マトリックス レザレクションズ】ではその『Wake up』のカバー。ここでもかぶせてきた。
おそらくカバーしてるのはBrass Againstってバンドかと思います。
「なんかRage~っぽいバンドだなぁ」と思ってたら、やっぱり影響受けてるバンドだったのか。
有吉さんのラジオで知ったバンド。ステージでおイタをして謝罪をしたことでも有名。くわしくは検索。
【マトリックス レザレクションズ】まとめ
今流行りの“メタバース”を先駆けた映画として知られる【マトリックス】ですが、“マルチメタバース”みたいな展開でもなかったですし、ブロックチェーンやNFTっぽい話もありません。
18年越しのラブロマンスでした。
しかし、作品に込められた青くさいメッセージ。同じ監督の作った正当な続編だなぁと感じます。
今の時代になって続編を出してくる意味を問うものではなく。監督個人の弔いと整理、って印象が強い。
「二人で新しい世界を作る」って終わり方が、妹のリリー・ウォシャウスキーへのメッセージでもありそう。
だとしたら、いつか再び姉妹が組んでマトリックスの続編はあるのか?
今回の【マトリックス レザレクションズ】がWeb 2.0的だったので、次があるとしたらWeb 3.0…
マルチメタバースが入り乱れる、万華鏡のような続編【マトリックス ディセントラル】。期待しましょう。
【マトリックス レザレクションズ】では、羊のように飼われる人々を羊(Sheep)+人々(People)で「シープル」と呼びました。
考えないでいた方が楽か。まわりと一緒だから安心か。それで満足か。
18年経っても人々の心は囚われたまま。眠ったままだ。と、思うのはいまだ中二病だからでしょうか。
しかし、その青さこそが何かを変える力になると信じています。
僕らは決してこれでいいとは思わない。
目を覚まそう。
「—飼われるな。心を解き放て—」
以上、映画【マトリックス レザレクションズ】レビューでした。
ちなみにマトリックスのような仮想世界に入ってみたいなら、VRゴーグル『Meta Quest2』が大人気です↓
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