「もうひとつ同じ世界がデジタル上に作られるんだって?」
コロナによって皮肉にも加速したVR・ARの進歩。そこへ見えてくるのは、この世界とそっくりな【ミラーワールド】が実装される未来。
雑誌【WIRED】での【ミラーワールド】特集も読みましたが、なかなかに難しい。
なので、さらに嚙み砕いて【ミラーワールド】とは何なのか、わかりやすくお伝えします!
第3のプラットフォーム【ミラーワールド】とは何か?《ARからのデジタルツインを考察》
“第3のプラットフォーム”になるとされる【ミラーワールド】とは一体何なのか。
いつから作られるのか。どうやって作られるのか。何に使われるのか。それぞれ以下のまとめました。
【ミラーワールド】とは何か
【ミラーワールド】とは…
実際の都市・建物・自然…現実の世界をスキャンして、デジタル化されたもうひとつの世界のこと。(デジタルツイン)
そして、そこに作られる人々の生活、社会。それがミラーワールドです。
現実世界に重ね合わせることができるので、映像や情報などをいつでも追加したり、引き出せたりできます。
VRやARを合わせたMRの世界で、ミラーワールドがどんどん作られつつあります。
おそらく10年以内には、一般的に目に見える形でミラーワールドが現れてくるだろう。というわけで。
インターネットが情報をデジタル化して、SNSが人のつながりをデジタル化したように、ミラーワールドはその他のすべてをデジタル化します。
現実の世界がスキャンされ、デジタル化されたミラーワールドに、人々は飛び込んでゆくことになるでしょう。
このミラーワールドが、ウェブやSNSの次の、巨大なプラットフォームになる。と考えられています。
これまでのプラットフォームを支配した企業と同じく、
ミラーワールドを制した者が、史上最も裕福で権力を持つ存在になる、と言われています。
そしてこのプラットフォームによって、さまざまな企業が繁栄し、さまざまな個人のアイデアが生まれるだろう。
というわけで、ミラーワールドに注目が集まっているのです。
【ミラーワールド】いつから作られるの?
では、【ミラーワールド】いつから作られるのか。
結論から言うと、もうすでに作られ始めています。
ご存知、グーグルアースなんかは【ミラーワールド】の一種です。
あとはどれだけ精度が上がって、利用しやすくなってゆくか。
【ミラーワールド】を利用するためのARグラスなどがどんどん開発され、どれだけ普及してゆくか。
僕らの日常に、いつ【ミラーワールド】現れてくるのは、そういったところがキモになります。
日本での【ミラーワールド】
日本ではVRのSNS内で【ミラーワールド】を垣間見ることができます。
【cluster】では、渋谷を模した『バーチャル渋谷(上の写真)』や、丸の内を模した『バーチャル丸の内』があります。
【VRChat】では、VRでスイスに実際にある村があったり、戦国時代にあった『安土城』もVRで作られました。
『バーチャルマーケット』というVR内のイベントで、ショッピングもできます。
そして、2020年には国の主導で、都市を3Dモデル化するプロジェクト『PLATEAU」もはじまりました。
>>>Project“PLATEAU (プラトー)”- 国土交通省
これは、国土交通省が率先して日本の都市を3Dデータにして、整備・利用していこうという…まさに【ミラーワールド】なプロジェクトです。
海外での【ミラーワールド】
海外でも、もちろん【ミラーワールド】化は進んでいます。
フィンランドの首都・ヘルシンキでは、街をそっくりそのまま3Dデジタル化した『バーチャルヘルシンキ』が作られています。
シンガポールでも、国土を丸ごと3Dデータ化する『バーチャル・シンガポール』のプロジェクトが進んでいます。
【ミラーワールド】からはちょっとズレますが、ベルギーでは『デジタル・アントワープ』というスローガンを掲げ、ブロックチェーンを使った行政サービスの開発が進められています。
IT先進国のエストニアでは、ネットから申請すればエストニアの電子国民になれる、ということで電子国家として有名です。
ウェブ、SNS、AI、ブロックチェーン…こういったさまざまなテクノロジーと組み合わさって【ミラーワールド】が強力なプラットフォームになってゆくわけです。
【ミラーワールド】どうやって作るの?
僕らの使うデバイスによって、世界をスキャンしてゆくことになるでしょう。
以下のようなモノです。
- カメラ
- スマホ
- ARグラス
- 車
カメラはもちろんのこと、最近のiPhoneなどには、周囲をスキャンできる『LiDARスキャナ』などの機能が付いています。
これから次々と発売される『ARグラス』にもカメラは付いています。
かけているだけで、周囲がスキャンされるようになるかもしれません。
車にもカメラが付いて、スキャンやマッピングに活かされることでしょう。
こういった、さまざまな場所から得たデータがつなぎ合わされ、一つの大きなデジタル世界が作り上げられます。
【ミラーワールド】注目の企業
もちろん、これを狙って熾烈な争いを繰り広げているのはGAFAです。
しかし、他の企業も要注目です。
ポケモンGOを開発した企業・Niantic社なんかは、もしかしたらものすごいことになるかもしれません。
それはなぜか。ポケモンGOのようなゲームが流行れば、みんな外へ繰り出して、街のあっちこっちにスマホをかざしますよね。
それによって、自動的にスキャンされるようになっていたら。
わざわざ3Dスキャンに労力を注ぎ込まなくても、一般の方々が勝手にありとあらゆる場所をスキャンしてくれるわけです。
ナイアンテック社は「今後もゲームと地図にフォーカスする」と明言しています。
こういった企業が、もしかしたらイチ早く【ミラーワールド】を作りあげて支配する、ということも考えられます。
あとは外国で人気のSNS『Snapchat』のSnap社。ARフィルターなどのサービスを次々と開発しています。
【ミラーワールド】にAR技術は必須です。
すでに秀でたAR技術を持っている企業は、今後化ける可能性は大いにあるでしょう。
ARはMeta社かApple社かMicrosoft社あたりが一般でも手が届くARグラスの登場しだい、って感じです。
ARグラスが出たらVRゴーグルをかぶるより手軽なので、一般には早く普及しそう。
ちなみにVRをやるならVRゴーグル『Meta Quest2』が大人気です↓
VRとARが普及した先には、仮想世界で活動する未来が待っています。
【ミラーワールド】をはばむものとは
【ミラーワールド】で懸念されるのは、権利などの問題です。
建物などを勝手にスキャンして、勝手に利用していいものなのか。映りこんだ人々の肖像権はどうなるのか、など。
新しい試みだからこそ、法律などもありません。
「3Dにするなら、権利的にお金を支払わなければならない」みたいなややこしいことになってくる可能性もあり。
そういった権利の面が【ミラーワールド】化への障害となり得ます。
【ミラーワールド】どう使うの?《第3のプラットホームとなるのか》
【ミラーワールド】を僕らはどう使ってゆくのか。
一番カンタンにイメージできるものとしては…
行先の下調べはもちろん、家具の配置、服の試着、そういった一般利用から、商業利用。現場のトレーニングなど。
昔からNASAなんかでは、宇宙に飛ばすのと全く同じマシンを作って訓練したり。
そういった考えと同じで、現実では危険なことを、何度でも繰り返すことができます。
さまざまなことに使えるのは容易に想像できます。
こちらの動画を見ると、イメージしやすいです↓
デザイナー・Keiichi Matsudaさんの作品『HYPER-REALITY』
現実の世界に、レイヤー(階層)がひとつ重ねられる。そこでいろいろ表示されたり、操作できたりする。
そういったことは可能になるでしょう。
そして、ウェブで“情報”をアップしたり、共有したり、検索したりするように…
【ミラーワールド】で“体験”をアップしたり、共有したり、検索したりするようになるんじゃないでしょうか。
そうやって、企業だけではなく、個人も混ざって巨大な世界生命体【ミラーワールド】が作られていくのではないでしょうか。
【ミラーワールド】なら、重力から。慣性から。現実世界のあらゆる制約から自由になります。
実際にどういったサービスが生まれてくるかは、まだまだ未知数です。
しかし【ミラーワールド】が“第3の巨大プラットホーム”となる日は着々と近づいています。
巨大IT企業だけじゃなく、個人の僕らにはどういうチャンスがあるのか。
今後も注目していきましょう。
WIREDの【ミラーワールド】特集 印象に残った言葉
「歴史」は動詞になる。
スワイプひとつで、時間をさかのぼれて、どんな場所であっても、その地でそれ以前に起きた出来事を見られるようになる。
ミラーワールドが発展して何百万の人々に使われるようになるには、少なくとも10年かかるだろう。
それが成熟するには、さらに数十年かかるはずだ。
だがすでにこの巨大世界の誕生まで充分に近づいているので、それがどんなものになるのか、ある程度予見することができる。
やがて、地球と同じサイズの、現実とヴァーチャルが融合した世界が完成するだろう。
それは人類の最も偉大な功績となり、何十億という人々にとって新しいレヴェルの富、新しい社会問題、数えきれないほどの新しい機会を生み出すはずだ。
この世界を築くための専門家はまだ存在しない。
あなたにだって、まだチャンスがあるというわけだ。
ここよりさらにくわしく知りたい方は、雑誌【WIRED】の【ミラーワールド】特集をオススメします↓
他、バーチャルの過去と未来についてはコチラにまとめています↓